『秒速5センチメートル』雑感


旧作レンタルになっていたので借りてみました。
新海誠作品は前2作も見ていますが、今回も切ないです…。
舞台が現代で、しかも新宿駅や大宮、久喜、宇都宮線、等々、
大学4年間毎日のように使っていた場所や風景が出てくるので、
なんか余計にシンクロ率が上がりました…。


ともあれ、今作は3話短編連作でふたりの男女の時間が描かれていて、
1話が小中学校、2話が高校、3話が社会人といった具合です。
新海作品にはどれも、時間、距離、想い、この辺りのテーマが
共通して流れてる気がします。
今回もふたりの想いが時間の経過やお互いの物理的精神的距離によって
どう変わっていくのか描かれていくわけですが…、
まぁ、想いってヤツは往々にして時間の経過で摩耗するものです…。


自分の拙いかつ数少ない経験でいえば、
小学校の頃に例によって同級生の女子を好きになって、告白するなんて
発想もないまま中学を過ごし、延々高1くらいまで想い続けてましたが、
それはもう最後には“好き”とは違うものになってたような気がしますね。
最初の頃の気持ちはまだしも、一途にならなければとか考え始めた段階で
本末転倒なんですよね。
好きだから自然に彼女を想い続けることができるわけで、
想いを持続させるために彼女を好きになろうとしたら、
その“好き”は本来の“好き”とは違う不自然なものでしかないですからね。
まぁ、それでもそう簡単に捨てられなかったりするのですが…。


話が逸れました。


さて、自分の体験は置いておくとして…、
1話で結ばれた絆は2話で時間と距離をもって変化します。
2話はほぼ少年側の描写しかされてないので、少女がどう変化したのか
分かりませんが、少年のほうは想いを持ち続けていたと思います。
ただそれは最初に持っていたものとは別物になっていた気がしますね。
それが彼の中でどの程度のウェイトを占めていたのかは分かりませんが、
それでも、それが変わり果てた残滓となっても捨てられないまま、
社会人へと成長していきます。
3話では一方で成長した彼女の話もクロスオーバーします。
この辺り、男女の考え方の違いというヤツでしょうか、
予想してはいましたが、結果はやはり切ないものです。
映像の美しさと山崎まさよしの曲とがあいまって、グッと来ます。


自分はハッピーエンドコンプレックスなので、
やはり最後にはハッピーエンドを望んでいたんですが…。
このラストがバットエンドだとは思いませんが、
かなりの薄味のハッピーエンドでもいいから、入れて欲しかったかなぁ。


さて、遠野貴樹が渡せなかった手紙と篠原明里が渡さなかった手紙…
それらがお互いの手に渡っていたら、どうなっていただろう…